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第13回ユニットバス施工雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社シンエー住設、更新担当の中西です。

 

~変遷~

 

 

「濡れる・冷える・滑る・汚れる」——かつての浴室の常識は、ユニットバスの普及で大きく書き換えられました。
戦後の住宅不足から、団地・分譲マンションの大量供給、リフォーム市場の成熟、そして高齢化・省エネ・DXまで。ユニットバス施工業は、建築・設備・ライフスタイルの変化を映す“縮図”です。本稿では、技術・工法・顧客ニーズ・施工現場の視点で、進化の足跡を一気にたどります。


1|1970s:在来浴室からプレハブ化へ —「防水の均質化」と「量産の論理」🏘️

  • **在来工法(モルタル+タイル+左官+防水)**が主流。現場品質のばらつき、工期の長さ、漏水リスクが課題。

  • 集合住宅・ホテルの大量供給を背景に、**工場で床・壁・天井を成形する“ユニット化”**が登場。

  • 目的は明確:

    1. 防水・断熱の均質化(工場品質)

    2. 多職種の段取り短縮(左官→不要/最小化)

    3. 狭小・高層現場でも組み立てやすいプレハブ化

以降、「現場で作る浴室 → 現場で“組む”浴室」へ、施工の前提が大きく転換。


2|1980s〜1990s:FRPと量産設計の熟成 —「狭小対応」と「軽量・耐水」🧪

  • FRP浴槽・床パンの普及で軽量・耐水・清掃性が向上。

  • マンション・団地の寸法モジュールに合わせた**定型サイズ(例:1014/1116/1216/1317/1616 など)**が整備。

  • 換気扇・点検口・配管ルートが標準設計に組み込まれ、漏水事故の抑制工期短縮が進行。

  • 施工の主役は**「据付・レベリング・シーリング・接続」**へ。左官・タイル職の関与は大幅に減少。


3|2000s:リフォーム市場の拡大 —「1〜2日で劇的変化」が当たり前に 🔧⚡

  • 既存の在来浴室をユニットに更新するニーズが増加。短工期×騒音・粉塵の抑制が評価される。

  • バリアフリー・ユニバーサルデザインが浸透し、段差の解消・手すり標準化・換気乾燥暖房機の採用が拡大。

  • 断熱浴槽・断熱フタ、保温性の高い床材(“冷たくない床”)など快適性への投資が加速。

  • 施工会社は解体〜産廃〜大工・電気・設備の工程統括をワンストップ化。工程管理力が差別化要因に。


4|2010s:清掃性・省エネ・高意匠 —「掃除しやすさ」と「温活」がキーワード 🧼🔥

  • 壁パネルのフラット化・目地削減・親水コートカビ・水垢対策が進化。

  • 浴室乾燥機+24時間換気の組み合わせが標準化し、衣類乾燥ニーズにも応える。

  • 節湯水栓・高断熱浴槽・高効率給湯器(エコキュート等)で光熱費の目に見える低減

  • サイズバリエーションの多様化(1620・1624などワイド化/1216の高機能化)で居住性の選択肢が広がる。

  • 図面・型番・下地寸法のデジタル管理が広がり、**“施工不整合の未然防止”**が進む。


5|2020s:高齢化・脱炭素・DX —「安全×省エネ×遠隔の安心」へ 🌱📲

  • ヒートショック対策(浴室暖房、断熱ドア・高断熱パネル)と転倒予防(ノンスリップ床、フラット納まり)が標準に。

  • 節水シャワー・マイクロバブル・浴室乾燥の高効率化により水・電気の使用量を削減

  • IoT連携(自動湯はり、追い焚き遠隔、浴室内見守りセンサー)で安心・安全のリモート化が進む。

  • 現場はレーザー墨出し・3Dスキャンで既存寸法の誤差を把握し、納まり衝突を事前回避

  • 資材高騰・人手不足を背景に、“部材点数の削減”“工場側のプレ組み”など施工性のいい製品が支持される。


6|顧客ニーズの変化:Before → After 🧭

観点 従来(Before) いま(After)
価値基準 「壊れない」「防水できる」 「あたたかい・掃除がラク・安全・省エネ」
デザイン タイル目地・段差あり フラットパネル・段差ゼロ・ワイド浴槽
機能 換気のみ 乾燥・暖房・涼風・24時間換気
工期 3〜7日(在来) 1〜2日で交換(条件により)
メンテ 目地補修多め 目地最小化・パネル交換容易
コスト感 初期費用重視 LCC(総保有コスト)重視

7|施工現場の進化:段取り術と品質確保の“型” 🧰

事前調査の解像度アップ

  • エレベーターサイズ/搬入経路、梁・配管の干渉、給排水・電気の既存位置、床レベル

  • 躯体への負荷(アンカー・ビス)の許容と下地補強の要否を先読み。

解体〜据付の省手間化

  • 解体粉塵・騒音を抑える切断計画と養生産廃の分別・搬出動線の設計。

  • 据付はレベリング→床パン固定→壁天井→ドア→器具→シール→接続→通水試験の“手順標準化”。

品質の見える化

  • 通水・漏水・アース・換気量のチェックリスト化。

  • シーリングは可視化できる打ち替え年次を記録、写真台帳を引き渡しに添付。

安全と近隣配慮

  • 搬入・搬出は養生/時間帯/エレベーター養生を事前共有。

  • 粉塵・臭気(シール)・騒音のピークを事前告知し、クレームを未然に防ぐ。


8|リフォームあるある課題と“ハマり回避”チェック ✅

  • サイズ選定:既存寸法から内法—有効開口—天井高まで拾い、配管スペース厚みを見落とさない。

  • 防水立ち上がり:床パンと既存床の取り合い、入口見切りの納まり。

  • 電気容量浴室乾燥暖房機の容量/ブレーカー回路を事前に。

  • 換気経路:共有ダクトの圧損・逆流同時給排気のバランス

  • 段差ゼロ化:フラット化で洗面側の防水ラインが崩れないか。

  • 管理規約:マンションは工事時間・騒音・産廃・共用部養生ルールを必ず確認。


9|施工会社のビジネスモデルも変わる:鍵は“工程統合”と“体験価値” 💼

  • ワンストップ化(解体・大工・設備・電気・内装の統合)で工期短縮×責任一元化

  • ショールーム・AR/VRで完成イメージを可視化し、**追加受注(手すり・断熱窓・洗面更新)**へ接続。

  • アフター&LTV:シーリング打ち替え・換気扇交換・乾燥機メンテ等の定期点検メニューで継続収益化。

  • DX見積自動化・現場共有アプリ・写真台帳の標準化で利益率を防衛。


10|これからの焦点:次の10年に来るアップデート 🚀

  1. 更なる省エネ:高断熱パネル・低消費電力乾燥機・熱回収換気の普及。

  2. ヘルスケア連携見守りセンサー/転倒検知/温度連動制御の標準化。

  3. 循環型素材再生FRP・リサイクル樹脂、解体時のマテリアル回収スキーム。

  4. 超短工期・無人化補助プレ配管・ワンタッチ継手・プレ配線半日〜1日施工の領域へ。

  5. 外皮連動の断熱改修浴室窓の高断熱化・床暖房との連携で住戸全体の温熱性能を底上げ。


11|まとめ:ユニットバスは“生活品質の装置”になった 🌟

ユニットバスの価値は、漏れない箱から快適・省エネ・安全・清掃性を備えた“生活品質の装置”へ。
施工業は、工場品質×短工期をベースに、DX・断熱・高齢化対応を束ねる“体験設計業”へと進化しています。
これからも、在来の良さ(意匠自由度)とユニットの良さ
(均質・早い・清潔)を賢く組み合わせ、
**「あたたかく、滑らず、掃除がラク」**という当たり前を、確実に・早く・美しく届ける——その継続こそが競争力です。🛁✨

 

 


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